【伝説のメーカー】日本のトイガン史を創った「MGC」の歴史と偉業・名作モデルガンまとめ

トイガンコラム

日本のトイガン史における伝説・MGCをご存じでしょうか?
モデルガンコーポレーション…MGC。それと旧称の「日本モデルガンコレクション協会」からも連想される通り、主にモデルガンを製造・販売していたメーカーです。

…と言うより、「モデルガン」は彼らが作りました。海外の発明品じゃありません。
つまりMGCは日本のモデルガンの始祖、トイガン業界とその開発史の起源といって過言ではない、超超偉大な功績を残したメーカーなのです。

残念ながら今では事業から撤退しているMGCですが、その功績がどれほど大きなものであったのか? 今回はそこを振り返っていきます。

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MGCとは?日本のトイガン産業を開拓した伝説のパイオニア

MGCは設立当時は埼玉県に本拠を置き、1960年代に輸入玩具銃の改修・販売をスタート。
こうした輸入品を改修したものを「モデルガン」なる和製英語で称したことが、歴史のはじまりとなりました。最初期の製品がのちに分類やジャンル全般を指す言葉として定着するのは、ジャンルの歴史ではあるあるですね。
MGCはやがて自社でもいちからモデルガンを開発し、活動を通してこれらを玩具から大人のホビーへと昇華させていくこととなります。

MGC M11イングラム。動作性が高く「動かして遊ぶ」モデルガンの典型。

MGCは「確実に動いて遊べること」を重視した開発哲学を持っていました。なんなら実銃から多少ディテールを変更してでも動作性を高める方を重視した製品も多く、モデルガンは撃ててナンボという設計思想がよく表れています。

誰でも手軽に、安全に、確実に。玩具メーカーとしてひたむきにこれらに取り組んだ結果として、1960年代や1980年代前半・モデルガンブーム全盛の時代を築き上げる立役者となった…それがMGCだったのです。

では彼らが残したものとは何なのか? 次の項目からは代表的な事例について、解説していきます。

日本のトイガン史に刻まれるMGCの功績

MGCの功績として代表的なのが「ブローバックモデルガンの実現」「ABS樹脂製モデルガンの開発」、そして「キャップ火薬の発明」です。
どれもがモデルガン界におけるシンギュラリティとして有名な事例。順番に触れていきましょう。

①ブローバック式モデルガン

かつてモデルガンのスライドは、ブローバックしませんでした。
なにしろ実銃では弾丸を飛ばす反動もあって自然と行われるブローバックですが、モデルガンは火薬で音と光と煙を発するだけで、何かを飛ばすわけではありません。
やるなら火薬の力だけでスライドを動かす必要があるのですが、それには相当量の火薬がなくてはならず、安全面からも非現実的でした。

今現在見られる数少ないブローバックしないモデルガン・MGCポケット。

もちろん銃を撃つという行為を疑似的に体験するのなら、ブローバックがある方がリアルで楽しいに決まっています。そこでMGCは、独自の方法でブローバック機構の実現を模索。そして当時MGCに在籍し後に伝説となるモデルガンデザイナー・小林太三氏の手によって1965年に遂に実を結び、ブローバック式のモデルガンが登場します。

中央のパーツがデトネーター。形状は色々なので、あくまで一例。

昨今モデルガンのチャンバーからバレル側を覗くと、多くの場合で細長い棒状の部品を確認できます。
今ではよく見る一般的な機構ですが、これこそがこの時発明された前撃針「デトネーター」なのです。

カートリッジに火薬を詰め、これをデトネーターにぶつけて発火。これらはシリンダーとピストンの関係にあり、限定的な狭い空間のみを圧力で満たすことで大きな力を生み出し、スライドを動かします。(※現代で言うところのオープンデトネーター方式です)
この機構が生み出されたことで、モデルガンの新たなジャンルが切り開かれました。
当時から現代に至るまで改良が重ねられることで洗練されていきますが、源流はすべてここに通じています。

②ABS樹脂製モデルガン

MGCの顔とも言えるABS製ガバメント。

そもそも、モデルガンは金属製でした。実銃が金属製なのだから、それを模したものも金属製にしたくなるのは自然です。しかし素材が近しいのなら、近しい強度が出てしまうのは必然。
実弾が何発も撃てるように改造されてしまう可能性があるのはもちろん、撃てなくても本物っぽければ脅しには使えてしまえたりと、問題の多い素材でした。
そのせいで法改正とともに、特に拳銃タイプのモデルガンには重い規制が課せられていきました。

いわゆる46年規制と、52年規制と言われる銃刀法改正です。(※数字はそれぞれ昭和の年を指します)
まず46年規制に対応して銃口を完全に塞ぎ、全体を金色にすることで生き延びた金属製のモデルガンですが、これがリアルでないということでマニアの顰蹙を買ったのは言うまでもありません。
後の52年規制では更に材質とする金属の硬度や、フレームとバレルの構造にまで制限がかかり、これでオートマチック型のブローバック発火モデルは更なる大打撃を受け、多くが製造不可能となりました。

そんな1970年代。MGCは金属製で作れなくなった黒いボディのモデルガンを復活させるため、新たな素材としてABS樹脂に辿り着きます。
ABS樹脂は安く、軽く、その割に耐久力もあり、金属ほどではなくとも発火によく耐える素材。
まさにモデルガンの材質としてはうってつけ。かつて金属で作られていたガバメントのようなモデルガンは順次ABSへと置き換えられていきました。

流行りを意識した箱の、初期型ハイパト。

「金属製」の「黒く」「重い」モデルガンに慣れ親しんでいたユーザーからのウケはというと、発売当時は最悪でした。が、この軽さは撮影小道具としては秀でた特徴で、当時流行りの刑事ドラマでMGC製ハイウェイパトロールマンがプロップガンとして使用されたことで、ABS製モデルガンは注目されます。やがて受け入れられていき、材質としての主流となりました。

③キャップ火薬

もともとモデルガンの発火に使われていたのは、紙火薬(平玉火薬)と呼ばれるものでした。
これは小さな火薬が等間隔に配置されているシートで、必要量をミシン目に沿って切り取って使うものです。わかりやすいところでは、運動会のスタートの合図でパンっと鳴らす時に使ったりするアレ。

ただしモデルガンだけのために作られたものでもない都合、カートリッジ1発1発に火薬を必要量むしって詰める作業はとても手間がかかりました。紙の燃えカスが残ったりして汚れやすく、モデルガン本体へのダメージも大きめでメンテナンスも大変。おまけにうまく動くかどうかも微妙な調整が必須のシビア仕様。モデルガンに使うにはちょっと不便な面もあったのです。

MGCキャップ火薬。やわらかいランナーで連なっていて、切り離して使います。

そこで1979年、MGCは火薬製造メーカーのカネコと協力し、モデルガン専用のキャップ火薬「MGキャップ」を開発します。これは古式銃で見られるパーカッションキャップとほぼ同じ構造をしていて、プラスチック製の小さな容器にモデルガン専用の火薬が詰められているもの。

説明書内での火薬装填の項目。こうした図解のしやすさもメリットになっている感じがします。

1発撃つのに必要な量があらかじめ詰められているので、必要な準備はこれをカートリッジに入れるだけ。手軽で安全で汚れにくく、しかも安い。いいことづくめのキャップ火薬は、たちまち普及していきました。これによって発火アクションへの敷居が劇的に下がったことは言うまでもなく、モデルガン文化の発展にはなくてはならない転換点だったのです。

今なおコレクターを魅了するMGCの代表作・名銃

ここでいつものコーナー。担当者が独断と偏見で選んだMGCの名作・名銃をご紹介していきます!

①トンプソン M1921 ミリタリータイプ 金属モデルガン

MGCといえばトンプソン! 個体数も多く、長物としては代表格と言っていいもののひとつでしょう。これぞ金属製といった趣の圧倒的重量が、まさしくトンプソンっぽさを醸し出しています。

長いこと作られた製品なので、法規制対応や発火方式の更新のたびに構造が変わってきているのも特徴。このため現在違法なものも存在するので、ちょっと注意も必要なヤツ。

②H&K P7M13 ガスブローバック

ガスガンにも人気の機種があるのが流石はMGC。グリップ前側の「スクイズコッカー」でホールドオープンを解除できる、他に類を見ない機構が印象的なモデルです。この独特の動作が楽しく、かつスクイズコッカーの動きをちゃんと再現しているのがコレくらいしかないので、価値の高い1本。

ただしスクイズコッカーは内部のパーツに負担がかかって摩耗しやすく、誤操作ひとつとっても負担となって、真っ先に故障するデリケートな機能でもあります。優しく、確実に、労わるように使ってあげましょう。

③コルトパイソン 357マグナム 4インチ スーパーリアルHW(SRH) モデルガン

モデルガンの材質が金属からABS樹脂に至る話は前述の通りですが、ABS樹脂から先にも発展があります。それがABS樹脂に金属粉を混ぜ込むことによって重量を増した材質「HW(ヘビーウェイト)樹脂」。そして金属粉の比重を盛って更に重く、磁石に反応するまでに至ったのがこの「スーパーリアルHW」です。

しかしスーパーリアルHWは素のABSと比べると耐久性で劣り、発火向きではありません。磁石に反応するという性質も、鉄でできた違法品なんじゃないかとか紛らわしくもあり、結局長く販売されませんでした。今後似たものが出ることもなさそうなので、そういう意味では貴重品です。

ちなみに似た材質はコクサイやマルシンでもありますが、「メガHW」などメーカーによって呼称は異なります。

④イングラムM11 フルセット モデルガン

これも代表的と言っていいサブマシンガンです。なにより動作面において優秀で、付属カートリッジも多め。とにかく撃ちまくって楽しめるMGCの開発哲学がよく表れている1本です。

値段もお手頃で市場の個体数は多い部類。入手はしやすい…んですが、前述のように撃ちまくって楽しむものなので、かなり発火されている個体が大半。未発火で状態の良い個体となるともはやほとんど存在せず、世にあるだいたいのMGCイングラムには発火の痕跡が見られます。

とはいえバンバン発火して遊ぶのはコンセプト通り。いっぱい遊んでもらえて玩具冥利に尽きる… そんな郷愁を感じさせるモデルではないでしょうか。

⑤H&K VP-70 専用ストック付 モデルガン

これはもう変わり種かつ激レア枠の、スーパー希少種。VP-70の時点でそこそこ高いのですが、それに専用ストックが付いていると、レア度は更にドンとアップします。特徴的な3バーストのギミックはストックがあって初めて見ることができるものなので、それだけストックの存在に対する価値は高いと言えます。

VP-70のモデルアップはとても少なく、あとはタニオコバからガスガンが出ていたくらい。例に漏れずそちらもプレミアですごいことになっています。需要は間違いなくあるので、リバイバルに期待がかかる部類のモデルです。バイオハザードにも出てましたしね!

MGCの撤退…そして受け継がれる遺伝子

数々の名作を世に送り出したMGC。しかしながら今はもう事業をたたんでしまい、業界にその残滓が残っているだけの状態です。これだけの功績を残したメーカーは、なぜ廃業してしまったのでしょうか?

モデルガンブームの終わりとエアソフトガンの隆盛

モデルガンメーカーであるMGC廃業の最たる要因は、モデルガンのブームとしての衰退とエアソフトガンの発展です。

もともとモデルガンは悪用を懸念する法律側との間で揺れに揺れてきたジャンル。
商品の性質上リアル志向のユーザーも多かったのですが、強く求められてきた金属製のモデルガンはガチガチに規制されてしまいました。強火ユーザーが満足するようなリアルな商品は作れなくなってしまい、規制が強くなるたびに大きな落胆が起きてきたのが現実です。

制約が多いモデルガンと反比例するように発展していったのが、BB弾を発射するタイプのエアソフトガン。時とともに性能もどんどん上がり、ガスブローバックのようなリアル志向のユーザーをも唸らせるメカニズムも登場。
エアソフトガンにも法的な規制はなくはないのですが、金属モデルガンに課されたものほど致命的な制約でもありませんでした。

人気を博したMGCのガスガン・M93R。写真はリキッドチャージ式のモデルですが、はじめは外部ソース式でした。

やがて立場をすっかり覆されてしまったMGCは、市場の需要に応える形で渋々ガスガン商品も作り始めます。この分野でのヒット商品も多いのが流石はMGCといったところですが、あくまで軸足はモデルガンに置いているメーカー。エアソフトガンメーカーとしての総合力では、東京マルイのような強豪に及びませんでした。(これはマルイが強過ぎるだけでもある気はしますが…)

一度エアソフトガンへ傾いた時流は、いち企業だけではどうすることもできなかったのです。

製造部門の廃業 受け継がれる魂

ガスブローバックや電動ガンなど、新しいジャンルの強敵が続々と現れ低迷が続いた結果、とうとう1994年にMGCは製造部門を閉鎖。
この時点でメーカーとしては解散状態となり新規商品の開発はストップしましたが、資産の多くを関連会社に引き継ぐ形で、既製品の製造販売は続けられました。後継の「新日本模型」や子会社の「台東商事」の名前で販売されていた商品がこの時期のものです。

台東商事の「TAITO」のロゴが見られるパッケージ。ほぼ流用で、MGCロゴの上からシールを貼って変更されている場合も。

箱のメーカー記載がちょっと違う程度の変更でしばらくの間は残ったMGC製品でしたが、モデルガンそのものが下火な状況は変わらず。やがて2010年には全面的に休止となり、現在の状況へ至ります。こうして多くのファンに惜しまれつつもなくなってしまったMGCですが、彼らが持っていたものは受け継がれていきました。

MGCに在籍し商品開発を行っていた伝説のモデルガンデザイナー・小林太三氏は、独立してタニオコバを立ち上げました。このタニオコバでは、MGCの哲学であり彼の哲学でもあった動作性を重視したモデルガンの製造販売が今も続けられています。
もともとMGCの下請けだったKSCも、MGCの廃業とともに独立したメーカーになりました。

MGCリバイバル M31-RS2。

MGCが持っていた金型もタナカワークスウエスタンアームズCAW(クラフトアップルワークス)といった現在も残る各メーカーへ引き継がれ、その後の商品の礎となったり、再販が実現することもあります。中でもCAWはちょくちょくMGC時代の製品のリバイバル販売を行っていて、2026年現在では「レミントンM31 RS2」が記憶に新しいところです。

MGCが作り上げたモデルガンの基礎的なメカニズムやキャップ火薬は今でも使われていますし、テンポの都合で省略してますがリキッドチャージ式のガスタンクなんかも、今なお息づいているMGCの功績です。今に繋がる多くを作り上げた、我々の源流。それがMGCだったと言えるでしょう。

【番外編】「SPG」と「SMG」 知っておきたい法律と安全マーク

ここまでで、モデルガンにはたびたび重めの規制が課されてきたことを解説してきました。主として1971年と1977年の法改正に伴う規制。既に話に出た「46年規制」「52年規制」です。

安全なモデルガンの条件

金属製モデルガンを前側から見た場合。バレルは埋まっている構造で、シリンダーの前側にも隔壁がありけり。

規制によって、金属製のガバメントやM92Fのような形のものはほぼ作れなくなりました。許されるためには、色々と条件をクリアしなければならなくなったのです。

  • 全体が黄色または白色に塗られていること
  • 銃身(バレル)が完全に閉塞されていること
  • シリンダーの前側にインサート(隔壁あるいは詰め物)が鋳込まれていること

おおまかにはこれらが最も大きなところで、いちばん簡単な区別の目安となります。

  • 主要部材は亜鉛合金などのブリネル硬さ91以下の金属であること
  • 銃身を交換できないよう機関部と一体構造であること

といった形で構造と材質にも規制が課されています。これらの条件を全部合わせるとオートマチックの金属モデルガンの多くが存在できず、息の根を止められてしまったというワケ。
現在合法な金属製かつ拳銃型のモデルガンは大体リボルバー。でなければ少し変わった形のオートマチックというパターンが多いです。ルガーP08とか、モーゼルM712とか、南部十四年式とか。

樹脂製モデルガンの前側。バレルとシリンダーのインサートがよく見えます

樹脂製モデルガンの場合は、厳密なことまで言い出すと長くなってしまうので端折りますが…

  • バレル内及びシリンダー前側にインサートが入っていること

とにかく一番大事なこの一点をおさえておきましょう。

「SMG」と「SPG」マーク

メーカーも法規制への適合品をわかりやすくしてくれていて、こうした条件を満たした製品には、だいたい目印がついています。金属モデルガンなら「SMG」。樹脂製モデルガンなら「SPG」という刻印がそれにあたります。

刻印の場所はいろいろですが、だいたいフレームやスライドのどこかに刻印されています。グリップを外した所に隠れている、なんてケースも。

ただし、これらが付いていれば絶対安全という話ではない点には注意が必要。メッキが落ちて元々の状態から色が変わっていたり、インサートに手を加えられている悪質な改造品も存在しているからです。
これらのマークがあることを大前提として、欲しいものや手放したいものが適法かどうかは逐一判断する必要があります。逆パターンもあり、「SMG」ではなくても合法ということもあります。ああややこしい。

ちなみに、SMGの前身として「SM」のマークも存在していました。これは昔の規制にのっとったものなので、刻印されている個体は現在は違法品です。
そのほか、時々「smG」みたいなGだけフォントやサイズが違うものだとか、あまり見ないマークの個体が見られます。

SMG刻印のデザインの一例。

実はSMGマークのロゴデザインは複数種のパターンがあり、厳密にコレでなければダメ!みたいな決まりはありません。SMにGを取って付けたような初見だとギョっとするデザインのものもありますが、法的な条件が満たされてれば問題ないやつです。

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以上が、伝説的メーカーMGCの簡単なあらましでした。語ることが多過ぎるのでこれでも端折った内容ですが、彼らの魅力とスゴさが伝わっていれば幸いです。

廃業して久しいので新しい製品の供給がない状況ですが、故にこそ中古市場は活発。特に状態の良い個体、中でも製造後一度も火薬による発火動作が行われていない未発火品は、物によっては価値がグンっと跳ね上がることも。

当店ミリタリーグッズ.COM、実はモデルガンについてはかなり得意分野です。
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