【徹底解説】リボルバーの雄「タナカワークス」の魅力!革命的機構「ペガサスシステム」や名銃まとめ

トイガンコラム

日本を代表するエアソフトガンメーカーのひとつ、タナカワークス。現代、日本国内の商品開発力が落ち込み海外勢に押されて久しい中において、独自の技術とこだわりで生き残ってきている歴戦の猛者です。
ジャンルとしてはリボルバータイプのガスガン&モデルガンの製造を主として、この分野において業界内で確固たる地位を築いています。

今回はそんなタナカワークスに焦点を当て、その歴史とこだわり、生み出してきた名作(&問題作)といった魅力の数々について解説していきます!

タナカワークスとは?モデルガン時代から続くリアルへの執念

タナカワークス、ちぢめてタナカ。
現在タナカは木製グリップやストックの仕上げの美しさで知られていますが、それもそのはず。もともと木製パーツを製造する「田中木工」を前身としています。
当時から各モデルガンメーカーに木製ストック等を納入していて、業界からきわめて近い距離にいたメーカーだったわけですね。

九九式狙撃銃のボルト周辺。旧日本軍系は木製部材の割合が多く、タナカの得意分野のひとつです。

1983年、提携先だったモデルガンメーカー「東京CMC」の廃業に伴ってその金型を引き継ぎ、本格的に遊戯銃の製造・販売をスタート。
この東京CMCはリアル志向のメーカーであったため、その魂を受け継いだタナカでも同様にこだわりが強く、外観と内部構造のリアリティを極限まで追求するメーカーとしての骨子となりました。

客観的に見てタナカは、職人気質。成立の経緯だけ見てもスタートから技術屋的で、凝ったものを作りたい人の集まりだったことが見て取れます。

業界を震撼させた大革命!「ペガサスシステム」の凄さとは?

タナカの商品開発史において最大の発明にしてメーカーの顔と言っても過言ではないのが、ペガサスシステム。簡単に説明すると、「リボルバーのシリンダー(弾倉)部分にガスタンクとBB弾の給弾メカニズムを全て集約する」というもの。

これによって従来型ガスリボルバーの弱点の多くが改善されたのです! ……と口にするのは簡単ですが、一体この仕組みの何がすごいのか? 順を追って解説していきます。

①リボルバーの常識を変えた!シリンダー内集約機構

従来のリボルバータイプのガスガンは、グリップの中にガスタンクを内蔵していました。
リボルバーの構造的には、まずこの点から非常に痛い。

リボルバーのグリップの中というのは、メインスプリングのような動作にガッツリ関わる部品が入るうえ、横幅も非常に狭い空間です。この場所に入れられるガスタンクは必然的に小さく、圧力も低め。おまけに実銃にはない役割の部品を無理やり組み込んでいるものだから、リアル志向のユーザーはここでゲンナリしてしまいます。

ペガサスシリンダー。前側にはBB弾装填用の窪みがあり、後ろ側にはダミーのリムが造形。うち一か所はガス注入用の穴になっています。

そこで、「ならBB弾もガスタンクもシリンダーに入れればいいじゃん!」と作られたのがペガサスシステム。「弾体+それを発射する動力」がシリンダーに集中している構造は、大まかに言えば実物のリボルバーでもそうなので、自然な発想なわけですね。

そうして前側からBB弾を装填し、後ろ側から内蔵のタンクにガスを注入する一体型シリンダーの構造が開発されました。

②最大のメリット:実銃グリップの装着とリアルな内部構造

この構造によるメリットは色々あります。特に喜ばれているのは、「実銃のグリップをそのまま装着可能」になっているという点。

コクサイ製S&W M66。プラグリップの内側が空洞なのは一般的ですが、中の支えがタンクと干渉しない形になっています。

従来型のようにグリップにタンクを内蔵する場合は、横幅の都合でグリップ側にはタンクの干渉を避ける形で窪みを設けておく必要があります。さらに多くの場合、固定にはグリップスクリュー(ネジ)を使うわけですが、まさかタンクをぶち抜いて反対側に到達させる訳にもいきません。そこで浅めのネジを両側から1本ずつ、タンクの外側に設けたネジ穴に固定したりします
実銃のグリップにはタンク用の窪みなんかないし、ましてやスクリュー1本で左右のグリップを繋ぐ構造です。そのままではタンクに干渉しまくってしまい、装着できません。
※機種によって構造は異なりますが、実銃グリップがそのまま付かない点はだいたい共通しています。

ペガサスシステムの導入でグリップからタンクが消えると、干渉する物体がなくなることで実銃用のグリップが無加工で取り付けられるようになったのです。
リアル志向のユーザー的には、これが非常にありがたい。装着のためにせっかくのグリップを加工して傷つける必要がなくなりました。

コルトSAAでの構造比較。左のペガサス式は実銃のようにスッキリ。タンクを内蔵していると、どうしても右の形になってしまう。

また、グリップ内のスペースが全部使えるようになったことで、実銃とほぼ同じトリガー・ハンマー周りのメカニズムを再現できるようになりました。これによって実銃と変わらないトリガーフィーリングが実現し、実射性能とリアルさを高い次元で両立。ほとんどモデルガンのようなガスガンが完成に至ったのでした。

ペガサスシステム自体の改良も続いていて、気温の変化に強い「Ver.3」や、コルトSAAなどでのファストドロウを意識した高耐久の「PEGASASⅡ」が登場しています。

モデルガン譲りの圧倒的な「外観仕上げ」

先項ではペガサス搭載機を「ほとんどモデルガンのようなガスガン」と表現しました。
実際に昨今ペガサス式ガスリボルバーが発売されれば、同機種のモデルガン仕様も発売されることが多いです。これは両者の構造の大部分が同じように作れて、広く流用が効くレベルで近いため。うーん合理的。

ガスガンとモデルガンで共通のポイントといえば、タナカは外観仕上げにも定評があります。これは主にフレームやシリンダーなど、銃の主要パーツ表面に施されるもの。
実銃のリボルバーは主に金属でできているわけですが、ガスガン・モデルガンの主要な部材といえばHW(ヘビーウェイト)等の樹脂系素材。これを実銃のような金属っぽく見せるために、光沢や質感を調整したメッキ等で表面仕上げを行うのですが、タナカ製品はこれがとっても美しい

HW樹脂製でありながらこうも美しい光沢を出せるのは、タナカのなせるわざの賜物。角度によって細かく色々な色彩で輝きます。

中でも特別な処理には名前がついていて、高級感のある光沢で有名なのが「ジュピターフィニッシュ」「スチールフィニッシュ」。金属感あふれるこういった仕上げは筆舌に尽くしがたく、実際に手にして色々な角度から眺め、移り変わりゆく光沢を目にして初めてその美しさが実感できます。というかこういう光沢は写真にきれいに写すのが難しくて…

多くの場合、ガスガンでもモデルガンでも同様の表面仕上げの製品が販売されます。
ガスでBB弾を発射して楽しみたい人も、火薬の発火で音や光の迫力を楽しみたい人も、どちらにも外観において同様にハイクオリティな体験を約束してくれる…それもタナカ製品の大きな魅力のひとつと言えます。

買取スタッフ視点で選ぶ! タナカワークス名銃セレクション

ここからは担当の独断と偏見で選んだ、タナカ製の名銃についてご紹介していきます。

①デザートイーグル .50AE HW モデルガン

ここまでリボルバーの話ばかりしてきましたが、オートマチックも数多く販売されてきました。中でも歴史的経緯という意味で、デザートイーグルについて語ることは避けられません。

ガスガンではいくらか種類がある一方、モデルガンでの立体化は本当に少ないのがデザートイーグル。もともとは「ハドソン産業」というメーカーから唯一モデルガンとして販売されていたのですが、やがてあえなく廃業。その金型と図面をタナカが受け継ぎ、後年に改良して再販を行ったのがこのモデルです

この業界では廃業したメーカーの金型を別のメーカーが引き継いで持っているケースが多く、時流が合えばこのように再販が実現することも。つまりデザートイーグルはモデルガンとしてはハドソン系列しか存在していないと言え、改良再販は非常に喜ばしいニュースだったのです。

デカさだけ取っても唯一無二のオートマチックハンドガンとして、デザートイーグルは界隈に存在感を放ち続けています。

②U.S. M1897 トレンチガン Ver.2 モデルガン

ライフルやショットガンのような長物もタナカの得手とするところ。先述したような強みから、木製部材がメインとなるモデルには定評があります。

中でも近年ホットだったのが、このトレンチガンです。長いこと再販に恵まれず、他のメーカーでの商品化もなかった機種なので、中古価格が高騰しまくっていました。それがver.2モデルとして改良再販されるということで当時は結構な騒ぎになり、引く手あまたのヒット商品となりました
物価の上昇で初代と比べると定価がぐんと上がり、中古価格も高いままそこまで下がったりすることもなかったというオチつき。

ちなみにトレンチガンはその昔ガスガン仕様もあったのですが、そちらはこのタイミングでも再販されませんでした。おおまかな仕組みの近いモデルがかつてご法度扱いされた経緯からか、トレンチのガスガンは自主規制され作られなくなってしまったようです。

③S&W M500 8-3/8インチ ver.2 ブラックHW ガスガン

界隈にいると、やっぱり一度はデカい銃を持ってみたいと思うもの。その意味では、タナカのM500はうってつけのモデルと言えます。

とにかくデカい! 重い! 説明不要!
ただそれだけでいい浪漫の塊。それがM500。HW素材でできているモデルなら、重量は1kgをゆうに超えてきます。

ver.2モデルも発売されて実射性能も申し分なし。バレルの長さ違いやギンギラのステンレスモデルもあるので、お好みに合わせてチョイスできるのも嬉しいところ。
そしてデカい…結局、デカいリボルバーは良いという話に終始。すみませんね。

④シティーハンター 冴羽リョウモデル コルトパイソン .357マグナム モデルガン

タナカはたまに、こういった公認のコラボレーションモデルも販売することがあります。
これはシティーハンターから。読んで字の如く、主人公「冴羽リョウ」のコルトパイソンを商品化したものです。
※「リョウ」の字は閲覧環境によってうまく表示されないことがあるので、カタカナでご勘弁!

コラボモデルらしく豪華なパッケージと、限定ガンスタンドといった付属品の数々…
劇中再現としてサイレンサーを装着できるようになっているのがリボルバーとしては珍しいところで、マルイのバイオハザード系のような派手なカスタムとはまた違った形で独特のシルエットを楽しむことができます。

タナカらしくモデルガン仕様・ガスガン仕様の両方があるので、お好みに合わせて求められるのも良いポイントでした。
過去形…なのは、こういうコラボモデルは一回売って終わりということも多いため…
ずっと再販され続けるような、未来のファンに親切な販売形態はコラボ系では稀。欲しいと思った時にまだ売っていたのなら、すぐさま確保しておくのが吉です

⑤スプリングフィールド M1873 トラップドア モデルガン

再販があるものないもの紹介してきましたが、こちらはない側のもの。
このトラップドアは正真正銘、マニア垂涎の激レア品です!

ブリーチブロックを開くと薬莢がピンっと弾き出される独特のアクションが最大の特徴で、これが「トラップドア」という呼称の由来となっています。
このアクションがうまく動かないとトラップドアらしさが激減してしまうのですが、動かす部分だけに壊れるといえばここ。更にカートリッジも1発しか付属しないので、なくしたり壊したりしたらもう終了。こうなってはトラップドアできません。

あんまり数が存在せず、長く再販もなく、時間が経ってガタが来る個体もありで、カートリッジ付きで正常に動く個体となるとたいへんメチャクチャ貴重です。買取スタッフでもめったに見ることのできない、まさにウルトラレアなモデルと言えます。

【番外編】リアル追求の果てに… 幻の銃(カシオペア)

① 究極のリアルを求めた「蓄圧式カートリッジ」

ペガサス式シリンダーについて1点リアルでないとすれば、それはなんでしょうか?
そう…カートリッジを装填する「ライブカート式ではない」という点です。

あくまでペガサス式はガスガンとして作る時にリアルさと実射性能のバランスが良いというだけの話で、できるのならライブカート式の方が実銃っぽいというのは真理です。もちろんリアル志向者のタナカ陣営もペガサス式にとどまることなく、発射弾体+動力をシリンダー側にまとめるという根本はそのままに、ライブカート式を実現しようと考えていました

…ということで出来上がったのがカシオペアシステム。蓄圧式カートリッジの採用により、カートリッジ1発1発にガスを充填することでBB弾を発射できるライブカート方式が成立!
まさにガスガンにおけるリアリズムの究極でした。

②警察による「真正拳銃」認定

これがダメでした。リアルさを目指すあまり、ガチで怒られてしまったのです。

前後の経緯は色々あるのですが、簡単に言うと「その気になれば実弾や火薬を仕込んで発射できる改造が可能」と警察(科捜研)に判断され、カシオペア搭載機は銃刀法的にアウトとなってしまいました。2008年秋にタナカワークスの社長が逮捕され、製品は販売禁止・回収の憂き目に…

蓄圧式カートリッジの模式図。弾体(BB弾の保持)とガスタンク両方の役割を持っています。

蓄圧カートリッジ構造のモデルはカシオペア以前にもあったのですが、そのたびこういった摘発を受けてきています。リアルさを追求するとどこも似た発想に至り、似た構造のものを開発し、それはダメよと怒られる。まさに収斂進化と絶滅イベントです。
これが繰り返されて、昨今セーフとされるラインがどこらへんなのか、ユーザーやメーカー各社がフンワリと理解するに至ってます。銃刀法自体がちょっとフンワリしているので、みんなの理解もフンワリしています。

結果的にタナカはガスガン分野ではペガサスに注力。ライブカート式はマルシンが主に作る形となり、現在のトイガンメーカー間のポジションの大枠を形作るきっかけとなった出来事とも言えるかもしれません。

ちなみにカシオペア式のモデルは持ってるだけで違法とされるヤバい代物
中古品漁りをする時にはくれぐれもご注意あれ!詳しい解説は以下の記事で詳しく行っていますので、ご興味があればどうぞ。

蓄圧式カートリッジって違法ですか?
以前「UFOキャッチャーの景品が本物の拳銃!?トイガン買取専門店が解説する、合法トイガンと違法トイガンの見分け方」で「蓄圧式カートリッジ」という言葉を出しました...

まとめ

木製部材の美しさに表面処理の巧みさ、そしてリアルに全力投球する技術屋魂
タナカワークスの魅力をばっちり確認いただけたかと思います。

こうしてクオリティを追い求めるとコストも上がるのが世の常。タナカの製品も例に漏れず、東京マルイ等と比べると商品全体として高額な傾向にあります。定期的に再販もありますが、中古市場は盛況かつ傾向としても値崩れしにくくなっています

タナカは精力的に商品開発を行っていて、日本のトイガンメーカーの中では活発なほう。時折ヤンチャもやらかしますが、それも強いこだわりゆえのもの。良いものを作る原動力、パワフルな熱量の証左なのです。


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