【名門の遺伝子】CAWとMULE! その関係性と受け継がれた名作モデルガンを徹底解説

トイガンコラム

現代のモデルガン界隈において、避けることが難しいレベルの存在感を放つ3文字があります。
それは「CAW」──すなわちクラフトアップルワークス。
これもまた現代に生き残っている稀有なトイガンメーカーのひとつであり、規模は小さいながらもモデルガンのみならずガスガン・エアガン・電動ガンと広く手掛けてきた素晴らしきメーカーのひとつです。

メーカー解説シリーズももう5回目。ここまで原則1社1記事を立ててきた訳ですが、今回はちょっと変則スタイル。CAWと切り離して語ることのできない「MULE(ミュール)」についても、あわせて解説していきます!

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CAWとMULEの関係性とは?業界を支える兄弟ブランド

CAWのルーツと開発体制

CAWはもともとはメーカーではなく、千葉県佐原市(現 香取市)に本拠を置くカスタムショップ。タナカのSAAなどをベースに、カービンモデルのようなメーカーラインナップに存在しない大がかりなカスタム品を製作していました。

歴史的にSAAよりもっと古いのがパーカッション式。
タナカやマルシンは、こういうモデルは作っていません。

やがて自社でも独自に製品開発を手掛けるようになってからは、パーカッション式のクラシカルなリボルバーや軍用銃を数多くラインナップしています。

おしなべて製品の出来はよく、クラシックなモデルにつきものの木製部材まわりの加工を含め、高い技術を誇っているメーカーです。

厳密に言うと、現在CAWの製品製造を行っているのは「Mys Factory(マイズファクトリー)」という別会社になっていて、採算は独立していますが連携して活動する体制をとっています。
このあたりは業界内の他のメーカー群と比べても独特なところですね。

MULEとの二人三脚

こうした体制の話に繋がってくるのがまさしく「MULE(ミュール)」です。
こちらはCAW前社長が、独立・派生する形で設立した別会社。分野としてはこちらもほぼ同じで、モデルガンや関連パーツを製造・販売するメーカーになっています。

ですが、別に「音楽性の違いで衝突し袂を分かってしまった!」みたいなことではありません。
むしろCAWとMULEは密接に連携しながらビジネスを行っている、グループ会社のような側面が強い関係です。

東京マルイ製トンプソン用の木製パーツセット。MULEはパーツに強く、他社製品のドレスアップパーツ等も出しています。


開発も二人三脚的で、製造や組立などで役割を分けたりしながら商品を作っています。

けれども全ての商品でそうしているわけでもなく、どちらが何をするかもその時々によりけり。適宜柔軟に協力しながら開発を行っている関係、というのが正確でしょう。

こういった事情で両者の製品を厳密に切り分けることが難しいため、通販ショップ等のWEBサイトではCAW(+マイズファクトリー)とMULEは併記されていることがほとんど。
CAWも、マイズファクトリーも、MULEも、単独では語ることができないのです。

廃業メーカーの魂を救済!名門金型継承の偉大な功績

CAWの活動のひとつとして語ることを避けられないのが、リバイバル製品の存在です。

ポイントは、トイガンの製造に欠かせない「金型」。
シリーズ前回のMGCの記事でちらっと触れているのですが、活動を終えた名門・MGCが所有していた金型は、いくつかの同業界の他社へと散っていきました。

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金型は、メーカーの開発ノウハウの結晶であり、まさしく資産です。(固定資産税がかかるレベルの…)
いちから作るとなるとかなり大変なもので、企業体力に余裕がなければとても新しい金型は起こせません。廃棄などもってのほか! 惜しまれつつも廃業したメーカーの金型を他社が引き取っていくのは、あるあるな出来事です。

結果CAWは今現在、MGCやハドソン産業といった廃業した名モデルガンメーカーの金型をいくらか所有しており、それをもとにたびたびリバイバル製品を製造・販売してくれています。
それもただの復刻ではなく、欠点とされていた部分を改修・現代技術でアップデートしたうえでの復刻である点が嬉しいところ。

MGCの金型から改修・リバイバルした、コルト.32オート。
こちらもMGCリバイバルのSIG P210。

名作と呼ばれるモデルガンはこれまでに色々出てきたわけですが、今現在モデルガンファンをやっているユーザーとて、必ずしもそれらの販売当時からファンだったわけではありません。
当時モノを中古市場で見つけだすというのも大変なので、今の時代に復刻する歴史的意義は計り知れないものがあります。

例:M31-RS2の改良点

改良の例として、2026年にCAW/MULEにてリバイバル販売となったM31-RS2。

元々はMGCから販売されていたポンプアクション式ショットガンの金字塔で、当時の仕様ではシェルカートリッジはオール樹脂製でした。銀色のリム部分はメッキされた別体の樹脂パーツを接着する構造で、使用に伴って剥がれたりするのはもちろん、割れたり外れたりといった破損が起きやすい部分でした。

銀色の部分はプラ+メッキ。よくできていますが、ガタもきやすい。

「シェルなんて発火に使う消耗品だし…」と言えばそれまでですが、比較的激しい動作への耐久を求められるものでありながら、強度面での不安の多い付属品だったのです。
壊れやすいせいもあってシェルの中古価格も高めだったのですが、CAW/MULEによるリバイバルではリム部分はアルミ製に変更されました。これによってシェルの耐久力は格段にアップし、動作にあたっての安心感はかなり向上しています。

ちなみに、公式としては「MGC製の旧型シェルとの互換性は無い」とのこと。
新旧で形状にそこまで大きな変更はないみたいなので、CAW/MULEシェル→MGC本体でもMGCシェル→CAW/MULE本体でも相互にスペアとして使えそうな感じがしますが、まぁ……
そこは自己責任、ということでしょう!

現代に蘇る傑作たち!CAW/MULEの代表的モデルガン

ここからはいつものコーナー。
リバイバルもたくさん含め、CAW/MULEの手掛けた歴史的名作の数々をご紹介!

トンプソン M1 ハドソンリバイバル

引き継いだ金型をもとに製作された、ハドソン製トンプソンのリバイバル製品。
ハドソン当時のものと比べてかなり改良されていて、フロントサイトが別体パーツになったり、各部の形状はよりリアルに。刻印類も大量に追加され、これらのブラッシュアップによってリアリティはぐんっとアップ。CAW/MULEによるリバイバルの、まさに好例と言えます。

これ自体も幾度か再販されていて、箱のデザインや形状が異なるものが出ています。
何年かずつ間は置かれますが、再販があるという安心感は嬉しいものですね。

MAD MAX ハドソンリバイバル

ハドソンリバイバル代表その2。MAD MAXはそもそも映画のタイトルですが、ハドソンが劇中使われた銃としてMAD MAXと銘打って販売していたので、こういうソードオフショットガンはそのままMAD MAXと呼ばれています。

ハドソン時代のものはテカテカのABS然としたバレルやフレームをしていましたが、リバイバルに際してツヤ消し仕上げとなったことで、安っぽさがかなり抑えられています。

一方、本体刻印が全部消えて全くの無刻印になってしまっていますが、これはまぁ…なんというか… ハドソンに限らず、昔は往々にして勝手に好き放題刻印を入れて売ったりとかがまかり通っていた、おおらかな時代だったというか… 無刻印にナーフされたと言うよりは、あるべき姿になったという方が正確でしょう。

ハドソン時代でもロングセラーだったMAD MAXは、CAWでも比較的再販されるほう。
象徴的なモデルなので人気も高く、需要をうまく拾ってもらえているようです。

イングラムM11 MGCリバイバル

こちらはMGCの金型から作られた、イングラムのリバイバル!
MGCイングラムはその性質上、とにかく撃つもの・発火するものでした。
そのため現存個体は自らの発火によって負ったダメージが蓄積していることが多く、良個体と巡り合うことは難しかった… それゆえに、新品が供給される意義は非っ常~~~に大きい!

もともと発火性能は高いモデルでしたが、内部機構の調整によってその安定感は更に向上。刻印もリアルになり、いいことづくめです。

…いや、値段は結構上がっちゃったんですが… 時代とともに物価が変わってきているので、そこはしゃあなし。今作って高くならないなんてことは、この業界ではほとんどないのです。

U.S.Army M1911A1 ミリタリーモデル of1943 HW

オーソドックスなこういう軍用拳銃もCAWから出ています。昔はMGCがあったのでガバメント系のモデルガンはラインナップが豊富だったのですが、今ではガバメントは意外と出なくなったので、CAWモデルの立ち位置は貴重です。発火モデルとダミーカートモデルの両方があり、発火しない派にもうれしい。

個体によってはしばしば装填・排莢がうまくいかないものがあり、そういうヤツに当たってしまうと調整には骨が折れます。まぁガバメントなので、いじりやすいほう。そういうこともあるとあらかじめわかっていれば、付き合い方の覚悟もできるというもの。

ちょくちょく再販もあるので、手に入れられたらかわいがってあげましょう。

M79 グレネードランチャー

モデルガンばかり紹介してきましたが、CAWの特色として外せないのがこういうランチャー。分類的にはガスガンにあたります。その最大の特徴は、中にある円筒状のカートリッジ──モスカートにあります。

モスカート。穴の1つ1つがバレルで、全て合わせれば60発。
モノによっては160発装填のとんでもないモデルも。

これはBB弾の装填部分とガスタンクが一緒になっているもの。ランチャーにセットし、トリガーを引けばガスを開放! 恐ろしい数のBB弾を一気にばらまくことができます。

ランチャー側の機構はシンプルで、モスカートのお尻のバルブを押してガス解放をするだけのもの。つまりモスカートこそが、発射機構としての本体。いわば小さなガスガンのようなものなのです。

※かの悪名高き蓄圧カートと近そうですが、それと違ってモスカートは現状全く問題なしとされています。話すと長いので、割愛!

何十発と装填したBB弾を一度に開放してばら撒くので、とにかく迫力がスゴいやつ。
発射音はとても大きいので、近くの人をびっくりさせないように注意。耳をやられます。

ちなみに、この手のものは一般的にモスカートと呼ばれますが、厳密にはCAWのものだけがモスカートという商品名を持ちます。パイオニアの名称が広く浸透しているアレ。

M134 ミニガン

数は少ないながらも、実は電動ガンも販売していたことがあります。
それがこのミニガン! …いや、これはもう普通の電動ガンの範疇にはない代物ですが!

重量約16kg。使用するバッテリーはなんとバイク用。こんなん持ち歩ける方がプレデターです。
多銃身を高速回転させながら、すさまじい連射でBB弾をばらまきます。そのサイクルはまさに規格外で、まるで引き裂くかのように一瞬で紙のターゲットをボロカスにしてしまいます。発射音もすさまじく、ここまでくると屋外専用。しかし今コイツが許されるレギュレーションを探すのも苦労しそうです。

定価は実に40万円を越え、対応バッテリーのことも思うとほとんど車両と言って差し支えないでしょう。色んな意味で神々の遊び感が半端ない、それがミニガン。
このレベルのものを作って何度か再販までしているというから驚きです。あるんだ…需要っ!

ボーチャードピストル Ludwig Loewe HW

最後は変わり種かつレアもの。近年ではゴールデンカムイとかでも登場していますね。
パッと見の印象からしてかなり変わっているボーチャードピストルは、他にはHWSくらいでしかモデルアップされていません。

ルガーP08みたいに、腕が曲がるようなギミックで排莢を行うトグルアクション動作が独特なモデルですが、こっちはP08よりもかなり大柄。デカすぎてあんまり実用的ではないとされつつ、世界初の自動拳銃という唯一無二のバリューがあり、好きな人はかなり好きなやつです。CAWは結成当初からこれを作りたかったらしく、思い入れの強い人が多い郷愁の自動拳銃といったところ。

個体数はそこまで多くなく、中古市場ではとんでもないプレミアがついています。
まさしくお宝と呼ぶにふさわしいでしょう。

まとめ

以上、CAWそしてMULEについてでした。
それぞれ得意とすること・その時できることを柔軟にすり合わせながら手分けし、ハイレベルな商品を世に送り出していく。そして過去の名作たちの魂を継承する… そんな彼らの魅力がおわかりいただけたことかと思います。

こうしたハイクオリティな製品の数々は、製造プロセス上の多くの場面で手作業を必要とするため、大量生産とはいきません。生産数はどの製品でも少なめにならざるを得ない一方、愛好するユーザーは多く、中古市場では常に高い需要があります。

MGC製なのか、ハドソン製なのか、はたまたCAW/MULEによる復刻版なのか。
そういった違いにも目を光らせ、差異を見極められてこそ、それが持つ本当の価値がわかります。

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